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ネイティブ・アメリカンとの関係修復について

左から、ミネトンカ社長 Jori Miller Sherer(ジョリ・ミラー・シェラー)、和解アドバイザーAdrienne Benjamin(アドリアン・ベンジャミン)、ミネトンカCEO David Miller(デイヴィッド・ミラー)。

ミネトンカとネイティブ・アメリカンとの関係修復について

著:アドリアン・ベンジャミン(和解アドバイザー、アニシアナベ族アーティスト、地域活動家)

共通の仕事上の知人を通じて、ミネトンカ社長 ジョリ・ミラー・シェラー氏とミネトンカCEO デイヴィッド・ミラー氏を紹介されました。その知人(地域の長老)から事前に「長年にわたって流用で有名な企業のトップと会うことになる」と説明を受けたのです。どう受け止めるのが正解かわかりませんでしたが、紹介してくれた長老の導きと善意を信じて、ミーティングに参加しました。

ミラー家の方々からは、反省、理解、懸念、そして弱さをすぐに感じることができました。彼らは、ミネトンカの製品のデザイン、ビジネス、そして社名までもが、ネイティブアメリカン文化の流用に基づいていることを理解し、まずはじめに誠実な謝罪の言葉を下さいました。ネイティブアメリカンのアニシアナベ族やダコタ族の、言葉や工芸品、文化から利益を得て、ミネトンカが成長してきたことをよく分かっているようでした。

彼らは変化を起こすための一歩を踏み出したのです。何年も前から「何かしたい」とは思っていたものの、具体的に何をどうすればいいのかまでは、明確化できていないようでした。ですが先住民の団体への寄付を静かに行ったり、先住民アーティストや活動家と直接会って話を聞き、ネイティブ文化の流用が全米の先住民に与えた影響について、理解を深めることをしてきたそうです。

2020年、ジョージ・フロイドの事件をきっかけに、この問題は地元ミネソタだけでなく全国的にクローズアップされるようになりました。ミネトンカは「Native-Made」であるかどうか、パートナーシップの正当性はどうなのかなど、多くの問い合わせを受けるようになりました。それと同時に、全米で起こっている変化の潮流を前に、今こそ勇気を出して、より大胆な変化を起こすべき時であると考えていたのです。

そこで白羽の矢が立ったのが私です。二人を紹介してくれた長老は、この会社の試みを他の先住民活動家たちが拒否していることに、深い懸念を抱いていました。もちろん私はその人たちの気持ちを理解していました。謝罪はしても、本当に意味をもった変化をしようとしない企業は常に存在しています。 ですが長老は、誰もに変わるチャンスを、誰もに教育のチャンスを、そして彼らの謝罪を証明するチャンスを、と考えていたのです。私は不本意ながらも面談に応じました。

最初のミーティングで私が驚いたことのひとつは、ミラー家の方々が、非常に真摯な姿勢であったことです。彼らは自分たちが悪いことをしたことを自覚しつつも、その全てを認識できている訳ではないと分かっていました。しかしまずは知っていることをもって、可能な限り最善の方法で前進しようとしていました。私は、ネイティブ文化の流用についての自身の見解と、それが先住民の家族やアーティストに継続的に与えている影響について、オブラートに包まず説明しました。この種の企業の誤った表現に対して、先住民たちが感じている怒りや激昂さえも説明しました。私はこの会話で、何もためらいませんでした。彼らが話を聞こうとするだけでなく、本当に教育を受け、言われたことを受け止め、それでも前に進もうとするのか?それを確かめたかったのです。

驚いたことに、彼らはそうしてくれました。数週間後、私はミラー家の方々から依頼を受け、和解アドバイザーとなりました。関係修復、金銭的賠償、そしてネイティブ文化の流用の歴史に関して、彼らの会社がより良くなるために導く仕事です。彼らの会社での有給ポジションを提示してくれたのです。

私はこのオファーについて考える時間がありました。いろいろなことが頭の中を駆けめぐりました。この会社と仕事をすることで、地域の人たちがどのように考え非難するか、不安になりました。しかし自分の思うように行動することが、自分にできる最善なのです。改革は非常に時間がかかり、ストレスも多いでしょうが、私のキャリアにおいて最もやりがいのあるものでもあります。一人でも多くの人の心を変え、他の人を教育する機会を与えられ、他の先住民たちに扉を開くことは、私にとって断れない機会でした。

そこで、さっそく仕事に取りかかりました。中には私が関わる前から進行中だったものもあります。会社のウェブサイトでネイティブ文化の流用を認め、ロゴとブランド名を変更し、他の先住民アドバイザーとベストプラクティスについてミーティングを続けています。

私がまず手始めに行ったのは、「GIVE BACK」でした。企業が非難されるとき、必ずこの言葉が出ますが、本当の変革や努力は、間違いなく資源の共有・再配分から始まるものです。この会社の富の多くは流用(つまり盗用)によってもたらされたものですから、盗んだ地域社会への寄付は当然必要です。これをしない限り、先住民のアーティストや活動家などは共に仕事をしたいとは思わないでしょうし、信用もしないでしょう。

第二に、メッセージを公的に発表することは非常に重要です。同類企業への正しい例となるためだけでなく、ネイティブアメリカンのコミュニティへ謝罪し、罪を率直に認め、関係者全員の改善のため計画を進めていることを知ってもらう必要があります。そして、私だけではなく、社会全体とオープンに話し合い、共に新たな旅路を切り開いていく必要があります。

さらに次の大きな柱は、地元の先住民アーティストにもっと機会を与えることです。ウェブデザイン、企業アパレル、限定シャツなどに、先住民のMni Sotaアーティストを活用すること。地元のアーティストを雇い、ミネトンカ本社の壁画や、視覚的・体験的なアート作品を制作すること。ブランドの広告キャンペーンに、より多くの有色人種のモデルを採用すること。先住民アーティストとのパートナーシップを築き、支援・購入することで、作品に光と観客を与えること。

そしてとても重要なテーマとなっているのが、サンダーバードモカシンのデザインについてです。完全に廃止するか、先住民のMni Sotaアーティストに改めてデザインしてもらうか、あるいは代替となる新しいデザインを考えるか、さまざまな議論が行われています。これらの議論や決定はまだ初期段階であり、現在取り組んでいるところです。

また、ミネトンカのビジネスや販売に関する幅広い知識を活用して、Mni Sotaやその他の地域の先住民の若者を教育することも、今後の計画の重要で刺激的な側面です。公立学校や部族の学校関係者と話し合い、学習のためのパートナーシップを築きたいと考えています。先住民の若者を招いてミネトンカ本社を見学してもらい、ミネトンカで働く先住民のグラフィックデザイナーやアーティストと関わり、講義や現場訪問を通じてビジネスを直接学んでもらうのです。

いずれは、こういったアーティストや教育者がミネトンカのアドバイザリーボードとなり、役員会に先住民の声を反映した議席が設けられることを願っています。この会社と、先住民のアーティストが前進した未来には、ワクワクするようなことがたくさんあります。

この期間、ミラー家の方々との関係はとても深まりました。私たちはオンラインで何度もZoomミーティングを行っていましたが、ついに直接会うこともできました。ミネトンカの本社を見学し、スタッフを紹介してもらい、倉庫を案内してもらいました。さらに私が今愛用している「レインボーマペット」と呼んでいる、とても楽しいスリッパもプレゼントしてもらいました。この計画を実現するために、メッセージの発信、機会提供、寄付、そして個人とのネットワーク作りに精力的に取り組んできました。このプロセスを支援し、先住民のアーティストや若者だけでなく、この会社とそのオーナー家族の成長を見守ることは、私にとってこの上ない喜びであり名誉です。彼らは自分たちを教育し、厳しい環境に耐え、ベストを尽くしているのですから、今私は本当に感謝しています。

ミネトンカのネイティブアメリカンへの取り組みについては、こちらのページをご覧ください。

先住民の日を記念して、ミネトンカはUrban Indigenous Legacy Initiativeに寄付をしました。ミネトンカの寄付の取り組みについては、「Giving Back」のページをご覧ください

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